菅義偉首相の所信表明により、日本でも遅ればせながら、「2050年のカーボンニュートラル(炭素中立)」が国の目標となった。生産や消費による二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出を限りなくゼロに近づけるとともに、それでも排出されるものを森林による吸収などで相殺する。
だが、個別の相殺方法には問題もある。その代表例が木質ペレットやパーム油など輸入バイオマス燃料を用いた発電だ。
再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)において、バイオマス発電は木材の成育時にCO2を吸収するため、カーボンニュートラルと見なされて推進されている。しかし、その大半を占める輸入バイオマスビジネスの実態に批判が強まっている。
FoE Japanなど国内外の34の環境団体は20年12月3日、大規模な輸入バイオマス発電について、「生物多様性を脅かし、気候変動を加速させる」として、中止を求める共同声明を発表した。
環境団体はバイオマス燃料に関し、日本において輸入が急増している事実や、東南アジアや北米において生産過程で希少な動植物が生息する天然林の伐採が急速に進んでいる実態を指摘。トラックや船舶による長距離輸送で大量のCO2を排出することもあり、カーボンニュートラルはまやかしであると批判している。
FITにより輸入が急増
もともとバイオマス燃料を活用した発電は、間伐材や、製材の過程で発生する端材などを用いて小規模に行われるケースに限られていた。しかもその多くは、中山間地で地産地消として行われていた。
その様相を一変させたのが12年にスタートしたFITだった。輸入材を燃料に発電した電力についても高い買い取り価格を保証したことで、木質ペレットやパーム油などの海外産バイオマス燃料の輸入に道を開いた。その結果として木質ペレットの輸入は、12年の7000トンから、19年には161万トンに急増。さらに今後は、米国やカナダからの年間数百万トン規模の新たな輸入が予定されている。
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