「ガソリン車の新車販売を2030年代半ばに禁止」
12月3日、新聞各紙の見出しにこうした文言が躍った。50年に温暖化ガス排出の実質ゼロを掲げる日本政府が、自動車の二酸化炭素(CO2)排出削減を加速させる施策を検討しているというのだ。
ついに日本も電気自動車(EV)への完全シフトを打ち出すのかと思いながら本文を読んで、途中でずっこけた。禁止の検討対象となっているのはガソリン“のみ”の車であり、ハイブリッド車(HV)が対象外となっていたからだ。
いうまでもなくHVはモーターとエンジン(一般的にはガソリンエンジン)を併用する。HVを認めるならガソリン車禁止ではなく、正しくは「新車の電動化を義務化する」である。
「フェイクニュースだ」とメディア批判をしたいのではない。限られた見出しの文字数で適切に内容を伝えることの難しさはよく知っている。正確な見出しを付けたメディアもあった。
似たようなことは10月末にもあった。中国の自動車技術者団体が35年に販売する新車のうち50%をEVなど新エネルギー車に、50%をHVとする技術指針を示した。このときも、一部メディアの見出しは「ガソリン車排除」だった。
一方、欧米では文字どおりの脱ガソリン車の動きが目立ってきた。今夏以降、米カリフォルニア州や英国が35年のガソリン車(以降、HVを含む)禁止を目指すと表明。これまでにも欧州各国は20年代半ばから40年にかけてを目標に脱ガソリン車の方針を示していた。
では、HVを容認する日本と中国は世界の流れに取り残されているのだろうか。話はそれほど単純ではない。
EVのコストや技術ハードルはかなり下がってきたが、台数が増えたときのリチウム資源の調達、充電の問題(設備より時間)、電池のリサイクルなど、解決すべき課題が残っている。裾野が広い自動車産業への影響も考慮しなければならない。これは忖度(そんたく)ではなく、国の経済の問題であるからだ。
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