化学業界の2021年は、中長期的な成長を見据えた動きが活発化する1年になりそうだ。
主なトピックスは2つある。1つ目は自動車向け機能商品のさらなる拡大に向けた動きだ。
化学大手にとって自動車向け機能商品は主力事業。ただ、20年前半は新型コロナウイルスの影響による自動車減産でダメージを受けた。
20年後半には需要が戻ってきたが、21年もコロナの影響は残存する見通しで、本格回復には少し時間がかかりそうだ。
ただ長い目で見れば、追い風が強まっている。理由は環境規制のいっそうの強まりだ。
自動車メーカーは近年、脱炭素化への取り組みを進めている。電池を長持ちさせるための車体の軽量化は必要不可欠だ。化学大手各社はそこを商機に、金属よりも軽く、丈夫さも併せ持つ機能性樹脂などの開発に注力してきた。このほか、リチウムイオン電池向けの絶縁材も順調に拡大している。
この脱炭素化の流れは変わるものではない。菅義偉首相は20年10月、50年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする方針を表明した。これを受け12月には経済産業省が30年代半ばまでに国内新車販売からガソリン車やディーゼル車をなくして、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)などの電動車のみにする目標を設ける方向で調整していることも判明した。
中国では10月に、35年までに新車販売から純ガソリン車を全廃する方針を発表した。欧州では、欧州連合(EU)が21年から厳しい排ガス規制を本格実施する。
これらの動きに伴い、自動車向け機能商品の需要はいっそう高まっていく可能性が高い。
化学大手各社は足元でも積極投資を続けている。例えば住友化学は20年9月、中国江蘇省無錫市に同国で5カ所目のポリプロピレン(PP)コンパウンドの生産拠点を新設し、21年に生産を開始する方針を明らかにしている。このPPコンパウンドは自動車向けによく使われる高機能材料だ。各社の拡大路線は今後も続く見通しだ。
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