──株主総会前日に配達された議決権行使書について、集計から外すことが長年続いていました。
非常に驚いた。事前の書面による議決権行使の締め切りは、株主総会前日の営業時間となっている。(総会実務の現場では)「営業時間とは何時までだ」「夕方の5時半までと明記したほうがいいんじゃないか」など神経を使ってやってきた。それがそもそもカウントされていなかったというのだから。
──なぜ、こうしたことが起きたと思いますか。
1980年代の株主総会のやり方を引きずっていたのだと思う。つまり、総会は出席する株主の(議決権の)過半数の賛成を確保すればいいんだ、という考え方だ。
だが、世の中は変わった。(1〜2%ならば)議案の可否に影響しないから集計は不要、という考え方はもはや通用しない。これはコーポレートガバナンス・コード(CGC)の影響が大きい。CGCは、総会で可決されたとしても、相当数の反対票が投じられた会社提案議案があった場合、その分析を行い、株主への対応を考えるべきだと定めている。
しかも、近年は議決権行使の結果を開示するようになった。取締役同士が賛成率を話題にするなど、細かい賛成率を気にしている。そうした世の中の変化を、信託銀行がわかっていなかった。株主の意見をきちんと聞いて経営に反映させていくというガバナンスの考え方に即していない、という批判は当然受けるべきだ。
──株主総会は会社に有利なように運営されているという不信感が投資家にはあります。例えば、事前の議決権行使書には「賛否のどちらにも○がない場合、会社提案に賛成、株主提案には反対と扱う」と書かれています。
少数の意見を聞く必要はあるが、経営は安定して合理的に進めることも必要だ。それが結局は株主の利益になる。ある程度、現経営陣に有利になっているのは、一概に不当とはいえない。経営権をひっくり返すためには、それ相応の覚悟と力がないとダメだ。
この記事は会員限定です
残り 772文字
