今から30年前の1990年7月7日。第14回FIFAワールドカップ・イタリア大会の決勝前夜に行われたコンサートは、後に20世紀最大のクラシックイベントとして語り継がれる「三大テノール」の幕開けだった。
会場は世界遺産に登録されているローマのカラカラ浴場。コンサート前の3位決定戦でイタリアがイングランドに勝利し、その余韻の中、会場に詰めかけた6000人の聴衆はさらなる興奮を味わうこととなった。イタリア放送協会(RAI)が放映したこのコンサートの模様を、なんと54カ国の8億人が視聴。「三大テノール」は、クラシックの枠をはるかに超えた人気を得たのだ。
ライブアルバムも発売からわずか3日間で50万枚、1カ月で300万枚という驚異的な売れ行きで、最終的には1600万枚というクラシック史上最大の売上枚数を記録したのだ。お堅いイメージのクラシック音楽、とくにオペラの大衆化にこれほど貢献したイベントはほかにない。
きっかけは、ライバル関係にあったテノール歌手、ルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラスの3人が熱烈なサッカーファンであったこと。そして、87年に白血病と診断されたカレーラスの闘病生活からの復帰を祝うことの2点だった。映画『甦る三大テノール 永遠の歌声』には、そういった逸話や、舞台裏の未公開映像がふんだんに盛り込まれている。
この記事は会員限定です
残り 528文字
