ベートーヴェン生誕250年のメモリアルイヤーもいよいよ終盤。12月16日頃とされる彼の誕生日を控え、さまざまな企画が目に留まる。筆者も先日、その1つとして放送されたラジオのベートーヴェン特番に出演した。
番組の中で、「今、いちばん聴いてほしいベートーヴェンのピアノ作品は?」というお題が出されたので、筆者は『ディアベッリの主題による33の変奏曲』と回答した。変奏曲としてはバッハの『ゴルトベルク変奏曲』に勝るとも劣らない傑作だからだ。
ピアノの達人にして即興演奏の名手でもあったベートーヴェンは、さまざまな主題を基にした「変奏曲」を多く遺(のこ)している。「変奏曲」とは、1つの主題(メロディー)が形を変えながら繰り返される形式で、その曲が生まれた当時はやっていたメロディーや、ほかの作曲家の楽曲を主題として取り入れることも多い。
前者の代表格が『きらきら星変奏曲』として知られるモーツァルトの『“ああ、お母さん聞いて”による12の変奏曲』。これは1778年にパリを訪れた彼が、当時はやっていたシャンソンを主題とした曲で、時代に敏感なモーツァルトならではの作品といえそうだ。
一方、後者の代表格がベートーヴェンの『ディアベッリの主題による33の変奏曲』だ。ベートーヴェンと同時代の作曲家兼楽譜出版商であったアントン・ディアベッリは、当時の名だたる作曲家50人に、自作のワルツを基にした変奏曲を1人1曲ずつ依頼し、長大な作品を作ろうと画策した。
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