去る11月4日、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(ウィーン・フィル)が全日本空輸の特別便で福岡に到着。翌5日の北九州公演から、10日間・8公演の日本ツアーが行われた。
公演の開催が正式発表されたのは来日5日前の10月30日だった。追って加藤勝信官房長官による「ウィーン・フィルの来日許可」の発表が行われたが、この異例ずくめの公演はいかにして実現したのだろうか。コロナ禍によって同時期の来日公演は軒並み中止となり、ウィーン・フィルの公演も不可能ではないかと思われていた。
実現の背景には、これまでに培われてきたオーストリアと日本の強い絆、そして「絶対に実現する」という関係者の強い意志が垣間見える。ツアー開始に先駆けてオンラインで行われた記者会見にはダニエル・フロシャウアー楽団長とミヒャエル・ブラーデラー事務局長が登壇し、来日実現に至った経緯と公演にかける思いを語った。
今回の来日公演の布石が打たれたのは、世界がコロナ禍に見舞われた3月だったようだ。「ロックダウンによって中断されたヨーロッパツアーの最中、私たちは今何をすべきか、何が必要なのかを話し合いました。そして、オーストリア政府に対し、音楽がいかに重要な役割を担っているか、オーケストラにとって演奏することがいかに重要かを伝えたのです」。その結果、6月に公演が再開。わずか100人の聴衆を前に行われたコンサートだったが、感動の波はオーケストラ全体に及んだ。彼らはその感覚を日本のファンと分かち合いたいのだという。
この記事は会員限定です
残り 485文字
