多くのシニアのキャリアを見てきた人材紹介のプロに、定年延長の動きはどう映るのか。
──69歳でシニア向けの人材紹介会社を立ち上げたそうですね。
ソニーに60歳まで在籍して子会社に移り、65歳で「就職活動」をスタートした。しかし仕事探しが難航し、ようやく次の職場を見つけたのは67歳のとき。その苦い経験を生かし、仕事を探しているシニアをサポートしようと人材紹介会社をつくった。
ただ、その経営は曲がりなりにも成功したが、シニアの紹介には失敗している。日本にはシニアが仕事を探せる仕組みはいまだに存在しない、というのが実感だ。
──シニアが仕事を探すことが、なぜ難しいのですか。
働きたいシニアは大勢いる。働いてほしい職場も多くある。しかし、それをすり合わせる個人の努力、社会の仕掛けが欠落している。
シニアの転職活動では、定年前のポジションや実績、経験などはほとんど売り物にならない。しかし、シニアの多くが会社での定年前の地位や収入、仕事の内容にこだわり、仕事探しに苦労する。また政府もシニアを採用しやすい制度や、仕事を探しやすい場所をつくってこなかった。
──どうすればいいですか。
シニアは定年を迎えた時点で、過去の役職や経験が役立たないと心得たうえで、職業人生を一度リセットすべきだ。そうすれば再就職口も見つけやすくなる。「“第三新卒”だからゼロから挑戦する」くらいの気持ちが大事だ。
──来春から、企業には70歳になるまで従業員の就業機会を確保する努力義務が課されます。
この記事は有料会員限定です
残り 662文字
