菅義偉新首相は、就任に先立って実施された自由民主党総裁選挙に際して「デジタル庁」の創設、地方銀行の再編などの政策プランを披露した。その一方で、社会保障や外交・防衛などとともに国政の根幹をなしている環境・エネルギー政策については、ほとんど言及することがなかった。
しかし、地球温暖化が危機的な段階に到達しつつある現在、環境・エネルギー分野における取り組み強化は避けて通れない課題だ。
欧州連合(EU)はコロナ禍からの経済復興策の主軸に、脱炭素社会へのシフトを据えており、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス削減の取り組みが不十分な国から輸入する製品を対象にした「炭素国境調整メカニズム」(国境炭素税)導入の検討を進めている。米国の大統領選挙戦では、民主党のバイデン候補が、再生可能エネルギーの導入拡大に巨額の予算を投じ、2035年までに発電分野からのCO2排出をゼロにするとの公約を発表している。
こうした中で、日本の消極姿勢が目立っている。20年度の「骨太の方針」(経済財政運営と改革の基本方針)では、環境・エネルギー政策について、「環境と成長の好循環を実現するため、水素等の脱炭素化の取組を推進」などと、数行の記述がある程度だ。
目立つ日本の消極姿勢
今年3月、日本は気候変動問題に関するパリ協定で各国が求められていた、温室効果ガス排出削減に関する30年度目標の見直しに際して、目標数値を据え置いたまま「国が決定する貢献」(NDC)の内容を取り決め、国際連合に提出した。このことは、国際社会の失望を招いた。日本は温室効果ガス排出量で世界第5位の大量排出国であるにもかかわらず、温暖化対策に消極的とみられている。
現在、各国の削減目標を足し合わせても、パリ協定で定められた「2℃目標」(世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べ2℃よりも十分に低く保ち、1.5℃に抑える努力をするという政策目標)は達成できず、今世紀末時点での気温上昇は3℃に達すると国際NGO(非政府組織)が試算している。日本についても現在の削減目標は2℃目標の道筋から大きく外れているといわれる。
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