高校3年間を離島や地方で学ぶ「離島・地方留学」が注目されている。自然豊かな環境で学べるほか、寮生活やホームステイを通じて思いやりや自律心、行動力を身に付けられるのが魅力だ。
その先鞭をつけたのが、島根県立隠岐島前(おきどうぜん)高等学校だ。西ノ島町・海士町・知夫村という3つの町村からなる隠岐諸島島前地域の住民の高校進学の受け皿だった同校は、2012年に全校生徒が89人とピーク時の3分の1にまで減少した。そこで「島留学制度」を導入し、今では当時の倍以上の生徒を確保することができた。この8年間で「留学生」の受け入れ数は150人以上に上る。
離島ならではの環境を生かしながら、地域の課題解決を兼ねた探究学習や、島の伝統行事への参加などを授業に組み込む。島の人の魅力を伝えるための「ヒトツナギ部」というユニークな部活もある。都会では経験できない島の生活を経ることで、人生観にも変化が生じ、生徒たちは多様な進路を見つけている。
島留学制度を利用するのは都会育ちの生徒が多いが、「半数いる島育ちの生徒にもよい影響を与えている」と語るのは、同地で島留学の推進を担う隠岐島前教育魅力化プロジェクトの大野佳祐氏。都会育ちの生徒と触れ合うことで、島内に限定されていた世界観が広がっていくのだという。
成功の要因には、留学制度と併せて始めた「島親制度」も大きい。寮は整備されているが、島留学をした生徒一人ひとりに「島親」を担当する住民を割り当てる。島親が釣りやバーベキューに誘ったり、地域の祭に参加を促したりして、文字どおり親子同然の暮らしをする。こうした制度が島留学をさらに充実したものにしている。
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