コロナ危機は自動車各社に「選択と集中」を迫る。今年の世界新車販売は前年比2000万台減の7000万台前後にまで落ち込む予測が大勢を占めつつある。世界の全市場で需要が喪失され、その回復に数年かかるとなれば、固定費が大きい自動車メーカーの台所事情は途端に悪化する。
一方、自動運転や電動化など「CASE」と呼ばれる新技術向けの投資負担が重い状況は当面続く。「成長投資を絞ると自動車業界では生き残れない。シェアの低い市場からの撤退など今こそ事業の精査が必要だ」(ゴールドマン・サックス証券の湯澤康太アナリスト)。
「選択と集中」が急務なのが日産自動車だ。2019年度の最終損益は6712億円の赤字(前期は3191億円の黒字)に転落。構造改革関連費用に約6000億円を計上したほか、500万台を割るほどの新車販売の不振が響いた。
「失敗を認め正しい軌道に修正する。回収が見込めない余剰資産を整理し、強い地域や車種に持続的に経営資源を集中していく」
5月28日に日産が開いた決算会見では中期経営計画も示され、内田誠社長は改革への強い決意を語った。カルロス・ゴーン元会長の拡大路線で年間720万台(18年度)にまで膨らんだ生産能力を2割削減し、23年度に540万台(600万台まで変動可能)とする。
日産は韓国市場からの撤退や車種数の2割削減も進め、23年度に18年度比で3000億円の固定費削減を目指す。アライアンスも徹底的に活用し、小型車の開発は仏ルノーに任せ、東南アジアでは三菱自動車への生産委託を拡大する。
日産は日本と北米、中国の3主要市場に注力し、電気自動車(EV)と自動運転の開発をリードする。
日産はインドネシア工場閉鎖を決め、バルセロナ工場も閉鎖を目指し調整中だ。ただ、生産能力は合計46万台に過ぎず、他工場の閉鎖やライン削減が今後追加される可能性が高い。日本では約130万台の生産能力を持つが、19年度の生産台数は76万台で稼働率は60%程度。今年以降、新型車の投入で多少回復するにせよ、中計で掲げる稼働率80%以上の実現には、国内生産体制の見直しも不可欠だ。
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