コロナ禍は米大統領選挙にも多大な影響を与えている。通常の選挙集会が開けず、民主党候補のバイデン元副大統領は自宅の地下スタジオからネット経由で支持を訴える。アピール力低下と過去の「性的暴行」疑惑が痛手だが、世論調査ではトランプ大統領に対し「やや優勢」が続く。「消毒液を注射してはどうか」という妄言などトランプ氏のコロナ対応への批判が強いほか、大恐慌以来の景気悪化が現職に不利に働いている。
では、バイデン氏が大統領に当選したら米国はどう変わるのか。同氏は前オバマ政権の副大統領であり、基本的にはオバマ時代の政策に戻る方向だ。移民政策は緩和され、銃規制は強化される見込み。トランプ政権下で失われた国際社会における指導力を取り戻すとしており、「イラン核合意」や「パリ協定」への復帰が予想される。
バイデン氏は通商政策においてもトランプ氏の「米国第一主義」を批判し、オバマ時代と同様、国際的な貿易ルールに基づく自由貿易主義を掲げる。ただし、トランプ政権が交渉から離脱した環太平洋経済連携協定(TPP)についてはすぐには加盟せず、再交渉する方針。選挙の接戦州でもある中西部のラストベルト(さびた工業地帯)を中心に、米労働者の間で自由貿易への不安が高まっているためだ。
勢い増す反中感情
バイデン氏は通商交渉以前に、まず産業競争力強化のため労働者に投資すべきだと主張する。ヘルスケア(医療保険制度)やインフラ、教育・職業訓練への投資を増やし、最低賃金を引き上げる。「クリーンエネルギー革命」で10年間に1.7兆ドルを投資し、1000万人の新規雇用を創出する。その財源は富裕層や大企業への増税、タックスヘイブンの優遇措置削減、化石燃料への補助金撤廃などで手当てする考えだ。
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