甲府市は山梨県のほぼ中央に位置する、人口約18万8000人の県庁所在地である。市域は南北に長大である。北側には国師岳(こくしだけ )や金峰山(きんぷさん)があり、南側には富士五湖の精進湖(しょうじこ)や西湖(さいこ)を望む。精進湖や西湖は東京で育った人間にはポピュラーな観光地だ。また東京から見て甲府市の手前にある勝沼(甲州市)はブドウやワインで有名。甲府市は首都圏、とりわけ東京の人間にとってはなじみ深い街といえるかもしれない。
この街が武田信玄ら武田家の本拠地として発展したのはよく知られるところだが、江戸時代には甲州街道の宿場町としてもにぎわい、中山道を経て江戸と京都を結ぶ重要な拠点に数えられてきた。
だが現在の甲府市が抱える問題は深刻である。市の人口は全国47都道府県の県庁所在地で最も少なく、鳥取市や山口市とともに20万人を割る。
市域が南北に細長く、北側には昇仙峡と呼ばれる景観豊かな観光地があるものの、そのほとんどは山間部である。また南側は富士五湖につながるだけだ。交通は東西を横切るJR中央本線と中央高速道路、そして笛吹川沿いに南下して静岡方面につながるJR身延線ぐらいしかない。
甲府は東京に近いことがあだとなっている典型的な街だ。甲府から新宿へはJR中央本線特急で最短1時間30分ほどだ。高速バスでも2時間半程度で新宿のバスターミナルに到着する。市民の多くが週末などには日帰りで東京に買い物やイベントに出かけてしまう。
また市内に大手企業がほとんどなく就職先が少ないことなどから、20歳代の若者の多くが市から転出しているのが現状だ。
この記事は有料会員限定です
残り 665文字
