数年前、トヨタ自動車本社を訪れる機会があった。東海道新幹線の名古屋で降り、名鉄に乗り換え、「三河豊田」駅で下車するのだが、この駅に着くまでに乗り換えが3回、所要時間は1時間を優に超えた。駅舎も、世界に冠たる大自動車会社、トヨタ自動車のおひざ元とは思えない質素な造り。駅前には中華料理店といくつかの店舗がまばらにあるだけで、まさしく田舎の風景だ。駅から徒歩で十数分、ようやく本社ビルにたどり着いた。真夏で酷暑だったこともあり、汗びっしょりで先方との面会に臨むことになったのを今でも鮮明に覚えている。
私が電車で来たと告げると、トヨタの方が驚いた様子で、「牧野さん、まさか電車で来たんですか。それは大変だったでしょう。ここは車で来ないと不便極まりないですよ」とおっしゃっていたことも強く印象に残っている。
豊田市は愛知県西三河地域にある人口約42万5000人の中核市だ。トヨタ自動車の企業城下町としてあまりにも有名だが、自動車関連の仕事をする人以外にはあまり知られていない街ともいえる。
東洋経済新報社『都市データパック2019年版』で、豊田市は全国400自治体中「財政が健全な都市」ランキング10位につける。この調査は自治体を①収支(支出が収入の範囲内か)、②弾力性(外部環境の変化に対応できるか)、③財政力(支出を税収で賄えるか)、④財政基盤(税収に安定した裏付けがあるか)、⑤将来負担(財政上の負担を将来世代に先送りしていないか)の5つのカテゴリーで総合評価したものだが、豊田市の安定した財政は街の住みやすさにもつながっている。
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