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置き去りにされる薬剤耐性問題 AMRが原因で毎年3.3万人が亡くなっている

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抗生物質(抗菌薬)が効かなくなる薬剤耐性(AMR)は、気候変動と同じくらい深刻な問題といっていい。だが、世の中の関心はそこまで高まっていない。AMRに対する危機意識は、猛威を振るう気候変動の前にかすんでしまっているのが現実だ。

気候変動対策を求める声が強まった理由ははっきりしている。異常気象が目に見えて増えてきたからだ。グレタ・トゥンベリさんのような若き活動家や「エクスティンクション・リベリオン(絶滅への反逆)」のような環境団体の存在感が高まったこともあって、気候変動には政財界もこれまで以上に目を向けるようになっている。

ひるがえって、AMRを取り巻く状況はどうか。各国メディアは、2014〜16年に筆者が取りまとめを担った調査報告から、次の2点を繰り返し引用している。1つは、抗生物質を不必要に使用し続け、新薬の開発もうまくいかなかった場合、AMRに起因する死者は50年までに1000万人に達するおそれがあること。もう1つは、その経済的な損失が15〜50年の累計で100兆ドル(約1京円)を突破する可能性があることだ。

AMRによる人的・経済的な被害が結果的に気候変動のそれを上回るかどうかはわからない。ただ、気候変動はAMRと違って、少なくとも対策を求める声が高まり続けている。ということは、実際に対策が講じられる可能性もそれだけ上がってきていることになる。

AMRの深刻さが十分に認識されていないことは、14〜16年に西アフリカで感染が広がったエボラ出血熱への対応と比較してもわかる。当時、各国政府や市民団体が迅速かつ効果的に対策に動いたのは、エボラの集団感染が米欧のメディアで連日トップニュースになっていたことが大きい。中でも米国は、エボラに感染するのではないかという異常なまでの恐怖に取りつかれていた。米欧では旅行のキャンセルが相次ぎ、政策担当者に行動を迫る声が高まった。

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