ラグビー日本代表の稲垣啓太選手が「笑わない男」として一躍、時の人となった。「へらへらした感じを出したくない。弱い部分を見せたくない」と説明する彼に対し、メディアは何度も「なぜ笑わないのか?」と問い、笑いを誘導する。
プロ意識の下に自身のアウトプットの質に圧倒的な自信があれば、場の空気を読み、笑いへつらう必要などないはずだ。スクラム最前線で体を張り、ベスト8入りに大きな役割を果たした稲垣選手が、その気もないのに笑顔でインタビューに応える必要などまったくない。本当に笑うべき人間はほかにいるのではないだろうか。
笑顔が求められる人
「笑い」の、組織内におけるコミュニケーション上の効能は小さくない。笑いのコミュニケーションは、言語コミュニケーションが始まる以前から存在し、自身が相手を威圧する脅威ではなく、相手と同等または相手より下に位置する存在であるというメッセージになる。相手の警戒と緊張を解き、安心感を醸成し心を開かせ、話を聞いてもらえる対話の場を整える効果がある。「笑い」という本能的な行為は、その場の空気に体温を与え、滑らかなコミュニケーションとシンパシーをつくり出す、組織のリーダーには欠かせないスキルの1つである。
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