何度か記者会見のアドバイスの仕事をしたことがあります。その際、お客様が最も神経をとがらせるのが、質疑応答です。事前に想定できる質問にはある程度備えられても、想定外の事態はどんなときだって起こります。それにどう備えるか。7月に相次いで行われた、吉本興業のタレントお2人と、社長の記者会見は、それを考えるうえで参考になるものでした。これらの会見についてはさまざまな問題が語られていますが、この連載ではあくまで「話し方」という切り口で考えてみます。
多くの皆さんの参考になるのは、タレントお2人の話し方です。百戦錬磨のしゃべりのプロですから当たり前といえば当たり前なのですが、これだけの受け答えができるビジネスパーソンはなかなかいないと思います。
何よりもすごかったのは、言葉を発する前に、時間を取って質問に対する答えを一度自分の中で考え、一言一言、言葉を選びながら話すスタイル。私の経験では、一般の方にとっていちばん難しいのは、この「しっかり間(ま)を取って話す」ことです。記者会見のような、好意的とはいえない人たちも見つめてくる場ではなおさらです。沈黙の時間は話し手にとって恐怖です。その結果、とりあえず何か話さなきゃと、終着点が見えない状態で話し始めてしまうのです。
吉本興業の社長の会見はその悪い実例でした。会見について「何が言いたいのか伝わってこなかった」という記事が多くありましたが、その原因は「答えを準備する前に、思っていることを話し始めてしまった」ことだと考えます。
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