M&A(合併・買収)が引き続き増加している。上場企業同士の事業売買だけではなく、中小企業のM&Aも増加傾向だ。
戦後に創業された多くの中小企業のオーナーは高齢化している。だが、必ずしもオーナーの親族が事業を承継できるわけではない。このため、企業を第三者へ承継する「事業承継型M&A」が増加している。これに特化したサービスを行うアドバイザーも増加中だ。
大手企業のM&Aと、事業承継型M&Aは、株式の売買という行為としては同じ事業だ。しかし、ゲーム理論で考えると、両事業の構造はまったく異なる。
大手企業同士のM&Aは、繰り返し型のゲームだ。繰り返して売買を行う相手同士は、長期的に見れば、相手をだますことは合理的ではない。利益は相反するが、買い手と売り手は協力し合う。それぞれに雇用されるアドバイザーも、雇用主をだます行動は合理的ではない。結果として、情報の非対称性や非協力行為によるレント(超過利潤)は抑制される。
一方、事業承継型M&Aは、ほとんどの場合、1回きりのゲームだ。1回きりのゲームでは、両者は協力しない。相手を出し抜くことに成功した側がレントを享受する。売り手と買い手、一方が中小企業で一方が大企業であれば、レントを享受するのがどちらかは、火を見るよりも明らかだ。
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