衣料や靴などの国際調達を手がける企業は4月上旬、カンボジアのフン・セン首相に連名で書簡を送った。強制労働や人権侵害への懸念を示すためだ。
欧州連合(EU)には兵器・弾薬を除く貧困国からの輸入について関税を免除する「武器以外すべて(EBA)」という特恵制度があるが、カンボジアに対しては人権侵害を理由にすでに停止が検討されている。
これに対しフン・セン氏は、国際社会は不当にカンボジアを狙い撃ちにしたと反発している。だが、カンボジアが圧力にさらされるようになったのは、環境・社会・企業統治を重視するESG投資が世界的な広がりを見せているからだ。
投資家にとって、ESG投資がイメージアップとなる段階はとうに過ぎた。今や倫理的に問題のある企業に投資していると信用が失墜するため、年金基金やファンドはESG上リスクのある案件を努めて避けるようになっている。つまり、フン・セン氏が34年間にわたって圧政を続けてきたカンボジアは忌避されて当然の国になったのだ。
変化を求めれば殺される
カンボジアでは環境破壊や汚職が横行している。政府の腐敗を監視する非政府組織、トランスペアレンシー・インターナショナルの腐敗認識指数(順位が低いほど腐敗が激しいことを示す)で、カンボジアは180カ国中161位に沈んだ。
労働者は保護されるどころか、変化を訴えれば命を落としかねない。1997年に私が首都プノンペンで率いた平和デモは当局から手榴弾(しゅりゅうだん)で攻撃され、参加者のうち16人が死亡した。負傷者は100人を超し、これには労働運動のリーダー、チア・ヴィチア氏も含まれていた。ヴィチア氏は2004年に白昼堂々撃たれ、暗殺された。現在でも、労働組合の代表は活動しただけで罪に問われる始末だ。
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