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フィリバスターなき世界、党派対立はさらに深まるか 上院で少数党の議事妨害に廃止の動き

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  • 安井 明彦 みずほ総合研究所調査部シニアプリンシパル
最高裁判事となったゴーサッチ氏(右)。同氏の指名承認はフィリバスターの対象外となった(ロイター/アフロ)

米国の議会で、多数党の権限を強める動きがある。狙いは「フィリバスター」と呼ばれる議事妨害の弱体化である。

フィリバスターとは、少数党が議事進行を妨害するための手続きだ。超党派の話し合いを促し、じっくりと時間をかけた議論を可能にする役割が指摘されてきた。

フィリバスターが繰り返されてきた上院の過半数は、51議席である。だが、仕掛けられたフィリバスターを止めて審議を進めるには、60票の賛成が必要となる。2大政党の力は拮抗しており、共和、民主のどちらかが60以上の議席を獲得するのはまれである。そのため、フィリバスターを止めるには、多数党であっても、一定の賛成票を少数党から得なければならない。類似の手続きが存在せず、多数党の一存で審議を進められる下院とは違う。

そのフィリバスターに、廃止の動きがある。上院多数党の共和党は、2017年4月に最高裁判所判事の指名承認をフィリバスターの対象から外し、ゴーサッチ氏の承認を強行した。19年4月には、判事の承認審議にかけられる時間を制限するなど、多数党に有利な仕組みづくりを進めている。

民主党からも同様の声が上がる。20年の大統領選挙への出馬を表明しているウォーレン上院議員は、フィリバスターの廃止をうたう。20年の選挙で民主党が大統領と議会の多数党の座を獲得した場合、格差対策の強化といった公約を実現するために、フィリバスターを使った共和党の抵抗を無力化する必要がある、というわけだ。

廃止論の背景には、党派対立の深刻化がある。近年のフィリバスターはじっくりと議論を進めるどころか、上院の機能不全をもたらす手続きと化していた。

かつての上院には、確かに超党派の協力があった。フィリバスターで審議が妨害されるのも、1980年代までは年に20回程度にすぎなかった。

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