生前贈与をしている人たちは、何をきっかけに始めたのだろうか。体験者に話を聞いてみた。
「父が亡くなったときは相続税がすごい額だった。もう大変で……。それで早めに贈与しておこうと思った」。そう語るのは、8年前から40代の一人娘に贈与を始めた70代の女性だ。見るからに品がよく年齢より若々しい。
12年前に死去した女性の父は、不動産を都心に複数所有する資産家だった。相続発生時は、たまたま父が売り出していた不動産の売却が決まったことで納税資金を確保できた。売却できなければ現在の生活を維持できなかったという。夫はすでに他界しており、今後が気がかりなのは娘だけ。自分のように相続で苦労させたくない。その思いが贈与を始める動機となった。
贈与については、「110万円は非課税になる」という程度の知識しか持ち合わせていなかった。そこで父の相続時に助けてもらった税理士に相談、個人年金保険を利用した贈与を行うことにした。一括で大きな額を贈与すると、贈与を受けた子が浪費してしまうかもしれない。その点、保険会社の年金支払いを通じてなら、一定額を規則的かつ確実に渡していける。
女性に娘の反応を聞くと、「娘も私の父の相続のときのことを見ていて大変なことがわかっていた。自然に贈与を受け入れてくれた」と話す。女性にとって満足のいく贈与ができているようだ。
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