読み返したい!『日本の政治』
「人が3人集まると、2つの派閥ができる」とは大平正芳の言葉だが、確かに私たちは政治的な存在であり、普段の生活にも、さまざまな形で小さな政治が存在する。
『日本の政治』は、会社や町内会などで繰り広げられる市井の人による身近な政治と、職業政治家によって営まれる議会政治の双方を視野に入れ、日本の政治過程と政治文化の諸相を詳細に描いた名著だ。
本書では「タテマエとホンネ」や「親心」といったキーワードを軸に、日本の政治の姿が解説されている。タテマエを基に筋論を展開する正論派と、ホンネをベースに融通無碍(ゆうずうむげ)な対応を求める俗論派の相克を描いた章は、会社の会議の様子などを思い浮かべて楽しく読める。
評者が本書と出合ったのは大学1年生のとき。ほぼ同時期に刊行された村上泰亮の『新中間大衆の時代』とともに愛読書となった。記述のスタイルは大きく異なるが、両者に共通するのは、特定の研究分野に閉じこもらず、自由に越境をしていくことの楽しさを教えてくれる点だ。
本書に描かれているのは、自民党が与党、社会党、共産党などが野党という安定的な構図の下で、中選挙区制を前提に繰り広げられた55年体制下の日本政治の動態であるが、その崩壊からすでに約30年が経過した。小選挙区制の導入と政権交代を経て日本の政治がどのように変わったのか(変わらなかったのか)考えながら読むのも面白いだろう。
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