読み返したい!『クアトロ・ラガッツィ(上、下)』
平成のベストの1冊が『クアトロ・ラガッツィ』だ。寝る前に本を読むのが日課で、若い頃はよく徹夜をした。最近ではさすがに眠気が上回るようになったため、本書が最後に徹夜をした本である。
安土桃山時代、わが国がおそらく初めてグローバリゼーションに対峙した時代、4人の九州の少年がローマに旅立った。天正遣欧使節である。本書はその顛末を描いた物語だ。出立したのは信長の時代。辺りは希望の光に輝いているように見えた。しかし事態は本能寺の変をきっかけに急変する。少年たちが長い苦難の末に戻ってきたのは秀吉の時代。キリシタンをめぐる状況は格段に厳しくなっていた。この冬の時代を少年たちはどう生き抜いたのか。涙なくしては読めなかった。400年以上前に広い世界に4人で立ち向かった少年たちのすばらしさ。僕は心底から日本人であることを誇りに思った。
感動で胸の高まりを抑え切れず、無鉄砲にも著者の職場、川村学園に電話をしたら奇跡的につながった。そして僕が主宰していた勉強会に講師として来ていただいた。テーマはもちろんクアトロ・ラガッツィ。感動が倍加した。ところが、それから間もなく著者は急逝してしまった。
この本は絶対に英訳されるべきだ。祖国の文化とグローバリゼーションとの狭間で思い悩む全世界の人々に読んでほしい。世界に十二分に通用する普遍的な価値を持つ最高の歴史文学だ。もう一度連休にゆっくり味わってみたい。
この記事は有料会員限定です
残り 606文字

