欧州連合(EU)は過去10年で2つの難題にさらされてきた。そして今、第3の試練に直面しつつある。
最初の試練は欧州債務危機だった。これにより統一通貨ユーロは消滅していてもおかしくなかった。だがEUは首脳会談に次ぐ首脳会談で、何とか危機を切り抜けた。
2015年になると今度は難民危機がEUを襲う。難民の流入は一部加盟国に集中したため、人の移動の自由を保障したEU共通ルールの矛盾がむき出しとなった。欧州を目指す難民の数はその後落ち着いたが、加盟国の有権者は15年のような危機が再来するのではないかと今でもおびえている。
そして第3の試練が、目前に迫った英国のEU離脱だ。英国のメイ首相はEUと合意した離脱協定案について議会の承認を取り付けられずにいる。英国政治は混乱を極めており、EU首脳はただ騒動の顛末を見守ることしかできない。かつて世界を主導した英国は、今では自国の針路すら自力で決められない体たらくだ。
だが今年5月には欧州議会選挙が控えており、EUにはのんびり構えている暇はない。
欧州では既存政党が存在感を失い、政治的分断が深まったせいで、組閣すらままならないケースが出てきている。スウェーデンでさえ、こうしたパターンにはまった。
内も外も問題だらけ
さらに悪いことに、経済もEU全域で減速してきているようだ。フランスでは大規模デモが火を噴き、イタリアは赤字予算案をめぐってEUと対立した。イタリアのポピュリスト政権が国内問題の責任をEU本部の官僚組織になすりつけようとする一方で、フランスのマクロン大統領は有権者の不満に応えるにはEUの権限強化が必要だと訴える。どちらにも、変化には痛みを伴う国内の改革が不可欠だという視点が欠けている。
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