ECB(欧州中央銀行)の金融政策は2018年に重要な節目を迎えた。6月の政策理事会で、15年3月から運用してきたQE(量的緩和政策)の段階的な縮小と年内終了を決断するに至った。
18年12月にQEを停止し、注目されるのは利上げ再開の可否とタイミングだが、この点もやはり6月の政策理事会の声明文に「19年夏以降、できるかぎり長く、政策金利を現行水準(マイナス金利)に据え置く」との表現が挿入され、市場の予想形成を促した。この表現の解釈には諸説あるが、大方の予想は「最短で19年9月に利上げ再開」というものである。
3つの理由からECBの利上げは困難
しかし、筆者はそうした見方は楽観的すぎると考えている。理由は大きく分けて3つある。具体的には、①ユーロ圏実体経済の減速が著しいこと、②域内政治不安がぬぐえないこと、③FRB(米国連邦準備制度理事会)の正常化プロセスが途切れるかもしれないこと、である。
①の実体経済の減速は最も重要な論点のはずなのだが、あまり議論されていない。ユーロ圏の実体経済は18年に入ってから明確に減速しており、これが19年にかけて元の成長軌道に復する確証はまったくない。ユーロ圏の実質GDP(国内総生産)成長率を見ると、成長ペースは半減している。また、域内の製造業PMI(購買担当者景気指数)の悪化も注目されており、4月の政策理事会ではドラギ総裁をして「予想外(unexpected)」とも言わしめた。その落ち込み度合いはどう見ても深刻である。

こうした中、QE終了はまだしも、利上げにまで踏み切ることが現実的とは思えない。
次に②の政治不安だが、欧州と聞いて不安を覚えるのは経済よりも政治という向きが多いであろう。欧州委員会とイタリアのポピュリスト政権の新年度予算案をめぐる対立は解消していない。
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