2期目を務める日本銀行の黒田東彦総裁。会見では「強力な金融緩和を粘り強く続けていく」と今も同じせりふを繰り返すが、実際に取っている政策は、着実に出口へのステップを踏んでいる。
最も象徴的なのは2018年7月に行われた政策の調整だ。表向きはフォワードガイダンス(政策の見通しを示す)として、金融緩和の持続性を高めるための「枠組み強化」をうたいながら、0%に誘導している長期金利の変動容認幅を従来の上下0.1%から「倍程度(上下0.2%)」とした。
16年9月にイールドカーブコントロールを導入して以降、日銀は国債買い入れの規模を実質的に縮小してきた。年間80兆円をメドとする、との看板はそのままで、実際の買い入れ額は50兆円程度(17年度)だ。これを「ステルステーパリング」とするなら、金利上昇を容認する18年の修正は「ステルス利上げ」だった。
18年10月に企画局の職員名義で公表された論文では、資産買い入れのタームプレミアム(期間のリスクに応じた利回りの上乗せ分)の押し下げ効果が検証されている。この論文は、効果の9割以上はストックによるもので、フローの寄与は限定的だとしている。保有するストックの大きさのほうが重要度は高いと結論づけ、足元で国債の買い入れペースを落としていることを正当化したとも取れる。
同論文には、バランスシート縮小のアナウンスメントが行われた場合の長期金利の反応についてのシミュレーションもある。日銀の政策は明らかに緩和政策からの「出口」を意識したものに変化してきている。
FRB(米国連邦準備制度理事会)やECB(欧州中央銀行)が出口へと舵を切る中、日銀は取り残されている。日銀の保有資産は拡大を続け、GDP(国内総生産)に匹敵する規模にまで膨張した。景気後退局面が訪れた場合、「のりしろ」のない日銀は政策の選択肢が限られてしまう。
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