フランスの政治、経済界もゴーン・ショックに揺れている。
カルロス・ゴーン元会長の逮捕容疑は金融商品取引法違反で、有価証券報告書に自らの報酬を少なめに記載したというもの。だが仏国内の複数のメディアは当初、脱税と誤って伝えた。フランスにとっても今回の逮捕劇が「青天の霹靂(へきれき)」だった様子がうかがえる。
逮捕直後、ルメール仏経済相が「フランス国内ではゴーン容疑者が脱税などの不正を働いた証拠はなかった」という趣旨のコメントをしたことで、仏メディアや市民の誤解はさらに広がった。
今回の逮捕について仏国内では、日産自動車側が仕掛けた陰謀であるとか、あるいは経営権をめぐるクーデター劇という見方が依然として根強い。それには、「(フランスでは)脱税や横領の容疑で誰かが逮捕されるのがそもそも珍しい」(高級紙ル・モンドのフィリップ・メスメール記者)という事情がある。
在日フランス人は日本の報道のあり方に違和感、あるいは戸惑いを覚えている。テレビの情報番組やニュースでは連日、数々の嫌疑が報じられているが、「フランスは推定無罪の原則を重んじる国」(日本に住むフランス人ジャーナリスト)だからだ。
たとえ逮捕・起訴されても、判決が確定するまでは推定無罪として扱われる。仏ルノーがゴーン氏の最高経営責任者(CEO)のポストについて解任を見送ったのも、推定無罪の考えが根底にある。
だからといってゴーン容疑者への同情論が勢いを増しているわけではない。高額報酬に対する批判は以前からフランスでも根強かった。マクロン大統領はその急先鋒である。経済相時代には報酬引き下げを強く求めていた。
この記事は有料会員限定です
残り 703文字
