ハリケーン「マリア」が米自治領プエルトリコを襲ってから1年以上が経つ。以前からスパイラル的に落ち込んでいた経済の悪化には拍車がかかり、住民の大量流出が起きている。プエルトリコは2017年5月に財政が破綻し、債務削減のための法的手続きに入っている。現在、同自治領の財政を監視するのは「プエルトリコ監視・管理・経済安定化法」に基づく連邦レベルの監視委員会だ。
ハリケーン災害は確かに悲劇だった。だが、誤った財政計画を見直すチャンスでもあった。監視委員会が承認した新しい財政計画はプエルトリコ経済を一段と悪化させるものだったからだ。
残念ながら、委員会は軌道修正の好機を逃した。先日承認された財政計画、およびプエルトリコ売上税金融公社(COFINA)が発行する売上税レベニュー債(売上税による将来の税収を償還財源とする)の取り扱いによって、プエルトリコ財政は永遠に身動きがとれなくなるおそれが出てきている。
売上税レベニュー債は再編対象となる債務の3分の1以上を占める重要な要素だ。しかし、財政計画の前提となる経済見通しは現実離れしている。はっきり言って、この程度の債務削減では、プエルトリコ経済を回復させることはできない。
売上税レベニュー債の保有者は委員会のおかげで回収率が高まる見通しになった。売上税レベニュー債と一般財源債の価格はいずれも着実に回復してきている。ハリケーン災害に関する連邦政府からの財政支援を巡って進む、政治的な駆け引きが好感されているのだ。
昔からいわれるようにおカネに色はつけられない。プエルトリコ債がこのところ値を戻しているのは災害支援金が被災住民のために使われるのではなく、間接的に債務返済に回ることになると考えられているためだ。
この記事は有料会員限定です
残り 706文字
