世界に旋風を巻き起こしたライドシェアサービスへの逆風が強まっている。
米ニューヨーク市議会は今夏、米ウーバー・テクノロジーズなどのライドシェアサービスの車両に対する新規営業許可の発行を1年間停止する全米初の規制措置に踏み切った。
狙いは、市内で悪化する交通渋滞の緩和だ。さらに、競争激化で収入が減ったタクシー運転手を支援するため、運転手の最低賃金も設定する。規制条例の可決を受け、ニューヨークのタクシー労働者同盟は「ニューヨークだけでなく、世界中の前例となる」として“勝利宣言”を出した。
「規制は、環境、労働の両面で必要だ」。ウーバーの労働者搾取を批判する著書を出版したジャーナリストのスティーブン・ヒル氏は言う。高層ビルが密集するマンハッタンに車があふれれば、当然、排ガスによる大気汚染の懸念も高まる。
米国の多くの都市では公共交通機関が少なく、ライドシェアが市民の足となっている場合も多い。だが、ニューヨークやサンフランシスコなどの大都市では渋滞が悪化。ウーバーは投資家からの豊富な資金をバックに損失を覚悟で運賃をタクシーの相場の半値に抑え、市場シェアを拡大。一方、生活難に陥ったタクシー運転手の自殺が相次ぐなど、社会問題に発展している。
ウーバーのほか、米リフトなど他社を含めたライドシェア全体では、ニューヨークで10万人の運転手が稼働している。ニュースクール大学・ニューヨーク市政問題センターによると、ライドシェアの毎月の乗車回数は、タクシーの2倍以上。競争にさらされるタクシー運転手の多くが困窮している。
タクシー業界の研究書を出版し、自身も運転手の経験があるコルゲート大学(ニューヨーク州)のグラハム・ホッジス教授は、「運転手の生活は、以前よりはるかに大変だ」と語る。市の規制を評価する一方、許可取得済みの車両が規制されない点に触れ、「覆水盆に返らず」と懸念を示す。
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