有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #平成経済の証言

勢い失った自己責任論 時代は「共助」再評価に 湯浅 誠 その4(全4回)

3分で読める 有料会員限定
ゆあさ・まこと●1969年生まれ。東京大学卒業。95年からホームレスの支援活動を開始。2008年「年越し派遣村」村長、09〜12年民主党政権で内閣府参与。14年から法政大学教授。(撮影:今井康一)

自己責任論、競争原理主義は、2000年代までは確かに幅を利かせていた。だが、その後の社会の雰囲気は、自分の身は自分で助けるべきとする“自助”から、人と人とが支え合う“共助”へと移った。

年越し派遣村は貧困問題への注目を高め、そのムードの移行に一役買ったかもしれないが、やはり東日本大震災の影響が大きい。人を蹴落としてわが道を行くよりも、人と寄り添い、絆を深めながら生きることの価値が、震災という悲惨な体験を機に再認識されたのだ。

体験型のツーリズムが人気となっていること。高齢者らが集うコミュニティカフェが広がっていること。CDは売れなくても音楽フェスは活況であること。日本社会の“共助化”は現在、あちらこちらで目にすることができる。

私が3年前からかかわる「子ども食堂」も、その延長線上にある。子どもの貧困対策と地域の交流拠点という二つの目的を持つ子ども食堂は、政府が旗を振っておらず、補助金もろくについていないにもかかわらず、2年で2000カ所増えた。大企業が子ども食堂の活動を支援する動きも各地で出始めている。

貧しい家庭の子どもを集めて飯を食わせる場所、といった見方をされることがあるが、実際は地域のにぎわいづくりに利用されることが多い。自治会などが開催する子ども会のような存在だ。昔はたくさんあったはずの、子どもや親が集まる場所が少なくなっていくことに、寂しさを覚える人が増えている。子どものかばんにGPS(全地球測位システム)端末をつけてでも家族が24時間責任を持って監視する自助社会に、疲れてきていることもあるだろう。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数