有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #平成経済の証言

日本の正月を変えた年越し派遣村の光景 湯浅 誠 その3(全4回)

3分で読める 有料会員限定
ゆあさ・まこと●1969年生まれ。東京大学卒業。95年からホームレスの支援活動を開始。2008年「年越し派遣村」村長、09〜12年民主党政権で内閣府参与。14年から法政大学教授。(撮影:今井康一)

2008年はいつもどおりに年を越すつもりでいた。正月の三が日には千葉県への家族旅行も計画していた。10月ごろから雇い止めを食らった非正規の労働者からの生活相談がポツポツ入り始めていたが、雇用問題は私たちの専門外だったので、リーマンショックというものが日本社会にどんな影響を及ぼしたかは、まだぴんときていなかった。

そのうち、労働組合系の団体いくつかが決起した、という情報が入ってきた。こんな状況で黙っていては労組の名が廃る、となったようだ。しかし労組はホームレスになった派遣労働者を寝泊まりさせるテント村の運営ノウハウ(想定されるトラブルへの対処や、食事などの手配)は持ち合わせていない。それで手を貸してほしい、と生活困窮者支援をしている私たちの元に来たことでかかわりが始まった。誰がリーダー役の「村長」をやるのか、となった段で、主催3労組いずれかから立てると別の団体に角が立ってしまう、利害関係がない人を、という流れで私が担がれる形となった。そんな事情だったから私も「じゃあ、初日の31日と最終日の5日だけは参加しますよ」と軽い返事をした。

初日の朝、不安な気持ちで日比谷公園へ向かったのを覚えている。こんな年の瀬、誰も来ないのではないか。人込みをこの目でとらえるまでは、そう思っていた。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数