最近あなたは、きちんと腰を据えて手紙を書いたことがあるだろうか。電子メールや携帯電話のショートメッセージではない。「ディア・ドナルド」「ディア・ヒラリー」といった昔ながらの手紙だ。
なぜこんな質問をしたのかというと、オバマ前米大統領の任期中には、毎週6.5万人がこのような手紙をオバマ氏宛てに書き送っていたからである。英紙ガーディアンの最近の特集記事によると、ホワイトハウスの職員はこれらの手紙から毎日10通を選んでオバマ氏に手渡し、オバマ氏は毎晩、自分で返事を書いていたという。
オバマ氏がこのような作業を日々の習慣にしていたのは、有権者の声に接することの大切さを知っていたからではないか。というのも、権力を持った政治家は誰もが、現実世界との接点をどう維持するかという本質的な問題に直面することになるからである。
トランプ大統領を見てみるといい。マティス国防長官のような例外を除けば、同氏の周りはお追従だらけだ。こうした取り巻きはありのままの現実ではなく、トランプ氏が喜ぶようなことしか言わない。“トランプ王朝”では、大統領の妄想をうやうやしく追認するのが必須のエチケットとなっている。
確かにトランプ氏の例は極端かもしれない。だが、たとえオバマ氏に近いタイプの政治家であっても、正しい情報を吸い上げるのには苦労するものだ。
しかも、権力の座に就いている期間が長くなればなるほど、諫言は減っていく。長期政権はごますりの温床になる、ということだ。これは英サッチャー政権時代に私が直接目にしたことでもある。サッチャー氏は法案を提出する立場にあり、もちろん政策を熟知していた。しかし、在任期間が長くなるにつれ、自分ほど問題をわかっている人間はいない、との思い込みを強めていく。
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