経済誌やビジネス書で、オーナー企業を礼賛する動きが盛んだ。曰(いわ)く、「サラリーマン社長は物事を決められない。ましてや、上場している場合は、短期志向の経営になりがちだ。オーナー企業は即決即断で、長期的な投資や人材育成を重要視する」などが主な主張のようだ。サントリーや未上場の地方豪族系企業が成功事例として取り上げられることも多い。
しかし、「オーナー企業」と「サラリーマン社長の企業」という二項対立での現在の評価は適正で公平なのだろうか。
ハイデガーが指摘するように、われわれ人間は「気づいたらすでに生まれていた」存在である。親を選ぶことはできず、生の目的を事後的に選び取る。一方、企業は誕生の瞬間にすでに、自覚的に親と目的が存在している。具体的にいえば、ほとんどの企業はオーナーである株主兼社長の強い思いが先に存在し、オーナー企業としてこの世に生を受けるのだ。
今日生まれた企業が、10年後に存在している確率は10%以下である。ほとんどのオーナー企業は失敗して駆逐される運命にある。
社会科学とは乖離
一般的にオーナー企業のパフォーマンスがよいわけでは決してない。むしろほとんどのオーナー企業は生き残ることさえ容易ではない。幸運にも生き残った数少ないオーナー企業が良好なパフォーマンスを示しているだけである。
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