ベンチャー企業といえば、新しいアイデアや技術を基に一から起業するのが一般的だ。しかし、家業を継いだ2代目・3代目の経営者が、衰退する商店や中小企業の中に新たな発想を取り入れて企業再生する、「跡継ぎベンチャー」が出てきている。
創業81年の大都(大阪府)はその好例といえる企業だ。同社の山田岳人社長(48)は、21年前、義父に「家業を継ぐのが結婚の条件」と言われ、勤めていたリクルートを退職、婿入り先の工具問屋を継いだ。毎日トラックで配送し、利幅の薄い仕事を続ける日々。一度は廃業の危機にも直面したが、大胆な業態転換を果たし、現在は売上高10倍の企業によみがえった。

全国では、年に約3万社の中小企業が跡継ぎを見つけられずに廃業している(「2017年版中小企業白書」)。跡継ぎベンチャーの支援活動を行う山野千枝氏は、「継がせる側の遠慮に加え、継ぐほうのやりたくない、という感情が事業承継を阻んでいる」と分析する。
山田氏も「やめたくて仕方がなかった」と苦しい当時を振り返る。卸事業が立ち行かなくなり、消費者にDIY(日曜大工)用品を直接売る通販事業に切り替えたが、卸売りを常識としてきた業界から猛反発を受ける。従業員15人全員のリストラを余儀なくされた。
しかし、先代の「どうしても会社だけは残してほしい」という言葉で廃業は踏みとどまった。「好きなことを仕事にするしかない」と発想を転換。当時としては業界で革新的な店舗でのDIY教室を開始する。これが当たって、社員は70人に増え、売上高は3億円から40億円にまで伸びた。ベンチャーキャピタルからの資金調達や、カインズとの業務提携も実現している。
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