大手がひしめく自動車業界で、軽自動車を主軸とし、他社とは違う生き残り方を模索してきた長老経営者が語り尽くす。
1990年ぐらいまでは、乗用車といえば流線形のフォルムが主流だった。そんな中で、93年に背が高いノッポのワゴン型軽乗用車「ワゴンR」を発売したのは、本当に記憶によく残っている。
当初は「ジップ」というニックネームで出すことになっていたが、“ジャップ”(日本人の蔑称)という誤解を受けるからよくないと思った。発売が決まり、決裁印も押していた状態だったが、思い直して、カタログやチラシ、ポスターを全部廃棄してやり直させた。箱形だから「ワゴン」でいいと思ったが、ワゴンは一般名詞でダメということだったから、何かをつけようと思ってRをつけた。スズキにはハッチバック型の「アルト」があるけど、ワゴンもR(あーる)という意味合いだ。
これが予想以上に当たった。93年にスズキとしても軽自動車としても初めてとなる「RJCカー・オブ・ザ・イヤー」をいただいた。つくづく思ったのは、いかに優れた商品でも、時代の流れに沿ってタイミングよく出さなければ、日の目を見ないということだ。
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