教育の問題はいつの時代も大きな関心を集めるテーマである。よりよい教育を次世代に対して提供することが、未来の社会をよりよいものにするために不可欠だとほとんどの人が感じている。そうであれば、教育に関する政策については、意見の相違なく、望ましい未来に向かって合意できそうなものだが、残念ながらなかなかうまくはいかない。
むしろ、教育政策や制度の変更はかなり難しいと考えられている。その一つの理由は、望ましい教育についての意見が人によってかなり異なるからだ。誰もが自分が教育を受けた経験を持っているため、その経験に基づいてどんな人も、理想的な教育像をある程度語ることができる。語れるだけではなく、強い主張を持っている人も少なくない。しかし、逆に言えば、自分の周辺の経験や知識しかない場合が多いため、断片的な経験談に基づく主張になってしまうケースもある。そのため、総論賛成でも個別の課題になると意見がかなり分かれてしまい、まとまりにくい傾向が出てくる。
この問題を避けるためには、経験による議論だけではなく、詳細な証拠やデータに基づいた議論や検討を積み重ねていくことだ。その意味で、エビデンスに基づく政策形成(Evidence-Based Policy Making)と呼ばれる政策決定プロセスが近年、特に教育分野で重要視されるようになったのは大きな進展だといえるだろう。
しかし、ここに難しさの第2の理由もある。それは、政策や制度を決めるための十分なデータが簡単には集まらないという点だ。
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