米政権による対中追加関税は、当初、あくまでもトランプ大統領の交渉ツールだった。対中貿易赤字を削減するために、追加関税で中国を脅して譲歩を引き出すことが狙いだった。しかし、望んだような譲歩を中国側から得られなかった。そのため、追加関税が現実のものとなってしまった。
史上最大ともいえる規模の関税発動には、トランプ大統領の長年のこだわりがある。2011年ごろから、彼は政治集会で「対中輸入品目に対して25%の追加課税を行う」と発言していた。1980年代には、日本に追加関税を課すという主張を繰り返していた。
大統領に就任した昨17年は、彼の側近らが対中制裁の発動を制していた。しかし今年4月以降、そんな側近らが次々と辞めていき、トランプ大統領は自由に動くことができるようになった。
米国の政治構造でいうと、外交・通商は大統領が大きな権限を有している数少ない分野だ。上下両院を共和党が握っていても、外交・通商以外の分野では、トランプ大統領が思い描く政策はなかなか実現しない。したがって、通商政策は、トランプ大統領にとって魅力的に見えるのだろう。しかも、今年11月の中間選挙に向けて、通商政策は格好のアピール材料となる。
トランプ大統領は7月10日、2000億ドル相当の中国製品に対して10%の関税を上乗せすると発表した。これにより米国と中国の間で通商協議が始まるが、合意がなされなければ、制裁が発動される。合意が実現するかどうかは、現時点ではわからない。また、制裁が発動される時期もどうなるか見通せない。

米議会・産業界は対中知財コストに不満
そんなトランプ政権の姿勢について、米国の議会や産業界の多くは、実は「もっともなもの」と感じている。米国企業は、中国市場に参入する際、知的財産権のコストを支払っている。このコスト負担について米国企業は強い不満を感じてきた。
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