企業社会の最新の流行はオープンイノベーションである。社外の知見を取り込むべく協働拠点を設けたり、社内で事業組織間の協奏を訴えたりする企業は増える一方ながら、相も変わらず「形から入る」姿を見ると思わず目を覆いたくなってしまう。
「実から入る」なら、企業間競争の激化こそを問題とすべきであろう。事業ごとに技術や信用の蓄積を競うレースに参戦して他社に負けじと腕をまくっても、もはや団子状態から抜け出すことは難しい。誰でも容易に技術や販路にアクセスできる開放系の時代に突入した以上、それは必然の帰結である。混戦から抜け出すには、競争の軸を変えるに限る。
その具体策として浮上しているのが複合技である。従来なら一つ屋根の下に同居することなどありえない事業を組み合わせて、それを一体不可分のペアとして運営する。そうすることで片翼飛行の競合他社を寄せ付けず、企業レベルで利益を享受する。
たとえば米アマゾンは、ネット物販事業をクラウド事業と組み合わせた。ネット物販には米ウォルマート、クラウドには米マイクロソフトという別々の競争相手がいるが、面白いことに、ウォルマートとマイクロソフトが戦う場面は想定しにくい。組み合わせが非凡な証左である。
この組み合わせは相互に遠すぎて、シナジー効果があるわけではない。むしろ重要なのは、他社には同居させることが難しいという点である。クラウドサービスをアウトソースできない時代にネット物販事業を立ち上げたアマゾンだからこそ、非凡な組み合わせが成立したのである。
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