「政治家の統率力が重要、官僚の姿勢が一変する」
大臣を経験してわかったのは、霞が関の官僚組織はとても重要な政策リソースであるということだ。政策の実現には非常に細かな行政手続きの積み重ねが必要で、これを熟知していないと何も進まない。歴代の首相がどんな発言をしていたか、新たな法案はほかの法律とどう整合性を取るのかなど、そのノウハウは基本的に官僚組織に蓄積されている。
では、官僚に政策のすべてを任せていればうまくいくかといえば、そうではない。欠点がある。国民の信託を受けていないため、官僚は大きな意思決定ができないのだ。たとえば郵政民営化や道路公団民営化は、総務省や国土交通省からは絶対に出てこない。既存の政策の微修正にとどまり、大胆な変更ができなければ、時代の大きな流れに対応できなくなる。
これは日本の官僚組織が終身雇用、年功序列を前提としたシステムであることも関係している。何かの制度を大きく変える場合、従来の政策に問題があることを認めないといけない。それは上司やOBの否定になるので、組織として大きな自己否定ができないのだ。
内閣人事局はさらに権限を持つべき
官僚主導の欠点を是正しようとしたのが、橋本龍太郎政権(1996〜98年)の行政改革だった。要は官僚が持つノウハウをしっかりと生かしながら、国民に選ばれた議員による政治主導を実践する。これが政治本来の姿だ。
官僚の力を生かせるかどうかは、政治のリーダーシップの強さに懸かっている。官僚に「今の内閣はすぐに潰れるな。この大臣はすぐに交代するだろう」と見くびられたら、本当の協力は得られない。官僚は「はい、はい」と返事をするだけだ。逆に、「この内閣は本気で政策を実行する。国民の支持も高い」と思わせたら、官僚たちの力を一気に結集できる。
この記事は有料会員限定です
残り 507文字
