INDEX
これでもか、これでもか、と発信するのが、昨今のメディア事情のようである。とにかく何かハマれば、明けても暮れてもそればかり、賛美は歯の浮く阿諛追従(あゆついしょう)まで、讒謗(ざんぼう)は袋叩きの罵詈雑言(ばりぞうごん)までいかねばやまない。
ほとんどテレビやネットを見ない筆者ですら、毎日ウンザリである。それでも世相をあらわすのなら、とりあげないわけにもいかない。その例には事欠かないけれども、紙幅の都合もあるので、歯の浮くほうの一例だけにとどめよう。
なぜ英国王室だけ騒ぐのか
「輝かんばかりの新しいロイヤルカップルの門出に世界中が沸き立った」
引用は、とあるネットコラムの一節。いうまでもなく、去る5月19日に結婚式を挙げた英国のヘンリー王子とメーガン妃のことである。
「世界中」だから筆者も含まれるのだとすれば、それは誤りだとぜひ訂正したい。外国の、見知らぬ他人様(ひとさま)の結婚など、率直にいって、どうでもよい。
かてて加えて、「世界中」にはたくさん「ロイヤルカップル」もいるだろうに、どうして英国王室だけ、こんなに騒がなくてはならないのか。
英国王室といえば、三十二年前のダイアナ元英国皇太子妃の来日を思い出す。こちらも大騒ぎだった。そして、妃殿下からゴシップ・パパラッチの標的となり、非業の死を遂げたすえ、聖女にまつりあげられたダイアナ元妃の生涯は、そんなメディアの体質を映し出す鑑(かがみ)でもある。ヘンリー王子で騒ぐのは、その遺児だから、ということもあるのだろうか。
いずれにせよ、しょせん芸能人やパンダとかと同じ感覚なのだろう。それならそれで、無礼きわまる話でもある。
この記事は有料会員限定です
残り 644文字
