世の中には、販売や製造の規模が大きくなるほど費用やその後の販売が有利になる、いわゆる「規模の経済効果」が強く働く産業やビジネスモデルがある。
ただし、この効果が働くと安易に考えて失敗するケースも少なくない。たとえば、業界1位の販売量を実現できれば、宣伝効果が強く働き、将来の利益拡大につながるはずと単純に考えてしまうケース。安易な安売りで無理に販売量を増やした結果、それを上回る将来の利益増が実現できないこともある。したがって、どのような規模の経済がどの程度働くのかを見極めることは大切だ。
そんな中、近年はマクロ的な構造要因により、この規模の経済の働き方に大きな変化が生じている。その一つは、人工知能の発達やデータ解析の進展である。比較的知られるようになったとおり、人工知能は大量のデータによって学習していく。そのため、データが集まれば集まるほど、うまく機能する。データ解析全般においても、データの規模が大きいほど有利に働くタイプの技術革新が起きている。
もう一つは、日本市場の小規模化である。かつては世界第2位の経済大国と呼ばれ、日本市場の世界経済全体に占める割合は大きなものがあった。しかし、日本は少子化や低成長によってその市場規模があまり伸びなかったのに対し、中国などの新興国は大きく成長し、今や世界経済に占める日本市場のシェアは大きく低下している。今後は人口減少も進んでいくため、日本市場全体で大きなシェアを獲得したとしても、世界全体における規模の経済に比べると、小さな効果しか得られない事態となっている。
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