2017年8月、タンザニアのザンジバル島でパスポートを含むすべての荷物を紛失した。その顚末はこの連載でも記したが、性懲りもなく、この島を18年5月に再訪した。
ザンジバル島はタンザニアの都市ダルエスサラームから北へ70キロメートルほどに位置し、アフリカ随一ともいえる美しいビーチがある。
筆者がパスポートを紛失した北部のヌングイビーチを目指して、欧州をはじめ、世界中から多くの観光客が集まる。
この島のもう一つの魅力はイスラム商人の交易で栄えたストーンタウンだ。この都市は当時、東アフリカを勢力下に置いていた、オマーンのサイイド・サイード王によって19世紀前半に建設された。
2000年に世界文化遺産にも登録された旧市街には、アラブ諸国によく見られる石造建築が並び、中東を旅しているのではないかと錯覚しそうになる。
ザンジバル島の住民の約9割はイスラム教徒だ。迷路のように入り組んだ路地裏を歩いていると、頻繁に猫に遭遇する点も中東を思わせる。
このストーンタウンを経済的に支えたのが奴隷貿易であった。東アフリカ最大の奴隷市場といわれ、送り出された人は30万人以上、ザンジバル島の人口の6割以上が奴隷だったともいわれている。
旧市街の中心部には奴隷市場跡が残る。ここは博物館となっており、奴隷を一時的に待機させていたという牢獄も併設している。
半地下の構造となっており、背をかがめなければ通れないほど天井は低い。すき間からわずかに太陽光が差し込んでおり、コンクリートの床には鎖とかせが残されていた。
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