4月25日に米国10年国債利回りは2013年12月以降で初めて3%を上回って引けた。この米国長期金利上昇が世界中からリスク回避のシグナルに見えたことは間違いなく、それ以降、すでに割高感が指摘されていた新興国通貨は全般に対ドルで下落が加速している。特に下落幅の大きいのがアルゼンチンペソである。
5月8日、アルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領がIMF(国際通貨基金)とのスタンドバイ協定(信用供与枠)の設定に向けた交渉の開始を発表。スタンドバイ協定は金額と支払時期に定めがなく、量的な経済目標を伴う定期的なレビューが行われる。融資プログラムが供与される場合には、財政赤字目標の設定および為替管理政策などIMFから厳しい条件を課される可能性が高い。国民に経済的な痛みを強いるのは必至であるが、政権支持率は発足以来最低の35.1%。国民の理解を得て、急場をしのげるかは不透明だ。
そもそも、アルゼンチンとIMFとの交渉自体が市場には驚きであった。アルゼンチンは14年に事実上の債務不履行に陥った後、16年にようやく国際資本市場に復帰、17年には100年債を発行するなど回復が見られたこともあり、窮状に陥ったことに気づかれていなかった。しかしアルゼンチンについては、もとよりいくつかの問題が指摘できる。
第一に、アルゼンチンは新興国の中でもインフレ率が際立って高く、今年に入ってから消費者物価の前年比は25%で推移している。17年12月にインフレ率は22%、期待インフレ率が17%で、インフレ目標の10%を大きく上回っていたにもかかわらず、利上げを行わず、政府と中央銀行は18年の同目標を15%に上方修正した。しかも、18年1月には利下げを実施するなど、かえってインフレを加速させてしまった。アルゼンチン中銀のインフレ抑制姿勢の後退であり、独立性の低下と言い換えられよう。
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