紙巻きたばこに比べ、煙がなく害が少ないとされる加熱式たばこ。だが、本当に害が少ないのだろうか。国立がん研究センターやWHO(世界保健機関)で長年たばこ問題に取り組んできた望月友美子氏に聞いた。
──日本で害が少ないとして販売されている米フィリップモリス社の加熱式たばこは、米国でリスク修正たばこ製品(リスクが相対的に低い製品)として申請されました。しかし、FDA(米国食品医薬品局)の審議会は科学的根拠の不足を理由に却下しました。
たばこ製品はすべて「ニコチンを脳に送達する装置」であり、燃焼式(紙巻き)でも加熱式でも本質は同じ。ニコチンは、毒物及び劇物取締法の指定物質で、血管の収縮により血圧を上昇させ、血管の内皮細胞や肺胞細胞を傷つける。アルカロイド(神経に作用する毒性を持つ物質)の一種で依存性があり、妊婦の喫煙では低体重児などのリスクが高い。FDAの判断は極めて妥当だ。
──燃焼しないので煙や一酸化炭素は出ず、タールは少ないです。
煙は出ないが、フィリップモリス製品は350度で加熱し、発生した蒸気でニコチンなど有効成分を抽出し、肺の奥深くまで送り込む。日本たばこ産業(JT)など他社製品も大差ない。無害な水蒸気ではなく、複数の有害物質を含んでいる。紙巻きと比較する議論があるが、日本で年間15万人を殺傷する紙巻きたばこと比較するのはおかしな話だ。たばこのないきれいな空気を基準にすべき。まだ十分な分析は進んでいないが、低温加熱による未知の副産物の可能性もあり、決して安全とはいえない。たばこ会社も自ら安全宣言しているわけではない。
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