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政治・経済・投資 #歴史の論理

異論を認知しない姿勢をマルクスから反省せよ 現代も変わらない人間の性向

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  • 岡本 隆司 早稲田大学教育・総合科学学術院教授

INDEX

社会主義・共産主義の実践・運動は、壮大な失敗に終わった、というのが定説である。共産党という組織・集団は残存しているにしても、共産主義・社会主義をめざす動きは、世界にほとんどみあたらなくなった。

共産党が依然として、政権を掌握している国もある。けれどもそれが、マルクスたちの考えたような社会主義・共産主義を実現したかというと、否定的にならざるをえない。

マルクスの主著といえば、言わずと知れた『資本論』。ややこしい術語がたくさんあって、とっつきやすい書物とはいえない。実際いまはほとんど読まれなくなった。

『資本論』のおもしろさ

しかし一つの読み物として、独特の言い回しをクリアすれば、こんなにおもしろい本も少ない。

「対象は人類史の全体である。それをごく簡単な道具だてで割り切ってみせようというのだから、その構想力の巨大さ、雄勁さという点では、とても人間わざとは思えないほどだ。しかもそれが一応もっともらしく仕上がっていることを思えば、天才とはこういうものかという賛嘆の驚きさえ禁じえない。」

マルクス経済学者・日高普(ひだかひろし)のこうした言に共鳴する筆者は、おそらくマルクス史学の光被がおよんでいた最後の世代なのであろう。もちろんそれは、マルクスのいうことをすべて鵜呑みにするという意味ではない。『資本論』がそもそも経済学説として正しいかどうか、当初から論議はあった。

マルクスの学説・史観それ自体が、必ずしも全面的に悪かったわけではない。科学のコンセプトは、複雑混沌な現実を規制する単純明快な原理のしくみをつきとめるにある。マルクスもそこをめざした。だからマルクス主義者は、「科学」を標榜する。

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