欧州では現在、特徴のある電力ビジネスが次々と生まれている。とりわけ目を見張るのがドイツの状況だ。電力取引市場の変革や蓄電池のコスト低下が起爆剤となって、新技術と再生可能エネルギーを組み合わせた新しいビジネスが続々と立ち上がっている。
その筆頭がネクスト・クラフトヴェルケ社だ。ドイツ全域の農家と契約し、バイオガス発電の電力を集めている。バイオガス発電は、家畜の排せつ物を発酵させたものなどからガスを取り出し、燃やすことで発電する。その電力を当日市場(当日の電力を売買する市場)や需給調整市場(需給調整用の電力を系統運用者に売却する市場)などに売る。強みはIT(情報技術)を活用した価格予測。最適なタイミングで最適な市場に売却し利益の最大化を図っている。
ゾンネン社は蓄電池システムのドイツ最大手。優れているのはユーザーを囲い込んでいる点だ。太陽光発電設備を持ち、同社の蓄電池を購入した約2万世帯を「ゾンネンコミュニティ」として組織化している。彼らは月額19.99ユーロを支払い、電力使い放題の権利を得ている。自家で使わず余った電力をFIT(国が定めた固定買い取り価格)より高い価格でコミュニティに売ることもできる。ゾンネン社は蓄電池販売後も、その電力をまとめて需給調整市場に売るなどで既存ユーザー以外から定期収入を得るモデルを構築している。
ブロックチェーン(分散台帳)技術を活用した新事業も始まっている。
東京電力ホールディングスも出資するコンジュール社は、プロシューマーと呼ばれる家庭と、地域電力ユーザーの仲介役。プロシューマーとは太陽光発電設備を持ち、電力の生産者でありながら消費者でもある人たちのこと。ユーザーは地域で生産された再エネ電力にこだわる学校などが中心。商圏を半径20キロメートル程度に限定しているところがポイントだ。ブロックチェーン技術を用いることで、再エネ電力を誰がどのくらい生産し、誰がどれだけ購入したかを把握できる。地域社会を重視し、地域の電力を使いたい人たちによって支えられているビジネスである。
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