福島での事故以降、日本の原子力技術には世界から厳しい目が注がれている。その中で、にわかに脚光を浴びているのが「高温ガス炉」だ。
昨年5月、日本とポーランドは研究協力についての覚書を締結。現在、実施取り決めに向けた協議が大詰めを迎えている。
原子力発電では、通常の水(軽水)を原子炉の冷却材に用いる軽水炉が主流だ。高温ガス炉は軽水炉と異なり、ヘリウムガスを冷却材に使用する。
軽水炉は発電用に広く用いられてきたが、高温ガス炉は長らく日の当たらない存在だった。
「研究開発を始めて間もない40年前は、原子炉の熱を用いた製鉄用途が有望視された。しかし製鉄会社の関心はその後、薄れてしまった。発電用では軽水炉との比較で十分な経済的メリットを打ち出すことができず、電力会社からも注目してもらえなかった」
日本原子力研究開発機構(原子力機構)の國富一彦・高温ガス炉水素・熱利用研究センター長は、研究開発の苦難の道のりをそう説明した。それが最近になって、期待の星と見なされるようになってきた。2014年の「エネルギー基本計画」では、高温ガス炉について、国際協力の下に研究開発を推進する方針が明記された。
950℃の熱を利用し水素製造など用途開拓
「ポーランドは石炭に代わる化学工場などの熱源として関心を示している。ポーランドが加盟するEU(欧州連合)では、炭素税率の引き上げが検討されており、石炭への依存度が高い同国経済への影響は極めて大きい。そうした中で二酸化炭素を排出しない熱源として、高温ガス炉に期待が寄せられている」(國富氏)
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