福岡市に本部を置く九州大学には、全国的にも珍しい「起業部」がある。学生ベンチャーを創出するため、大学公認の部活動として2017年6月に発足した。
入部条件は、本気で起業する意思があること。起業部創設者であり、顧問を務める熊野正樹准教授は、「起業部に在籍して起業しないのは、野球部に入部して野球をやらないのと同じ」だと話す。入部した学生は1〜2年生を中心に150人。設立初年度からかなりの大所帯だ。
熊野准教授に言わせれば、「日本の大学の多くは、起業家教育とリーダーシップ教育をはき違えている」。九州大学起業部では、実践的な指導に重きを置く。学生たちは4〜5人のグループに分かれてビジネスプランを作成。それをみんなの前で発表し、議論を重ねて練り直し、国内外のビジネスコンテストに応募する。
熊野准教授は銀行やコンサルティング会社に勤務した後に起業した経験があり、「投資と融資の違い」など基礎的なことから、「ベンチャーキャピタルに出資してもらうための収支計画の書き方」といった資金集めの手法などを学生に教える。
加えて、起業家やベンチャーキャピタリスト、弁護士、公認会計士など50人が部活動をサポートしている。発足から半年後の今年1月には、医学部4年生を中心としたチームが「AI(人工知能)による病理画像診断ソフト開発」事業で起業した。
10年で50社起業が目標
4年在学中の16年秋に起業したローン・ジョシュアさんは、起業部の学生たちの手本だ。ローンさんは、風力発電機の羽根を二重にして発電量を2倍程度に増やす仕組みを実用化するため、日本風洞製作所を設立。在学中から「市場規模や状況、実用化したときの製造コストを意識しながら研究した」という。
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