日本経団連は2018年春闘で月例賃金の3%引き上げという数値目標を示した。好調な企業業績を背景に経営側が積極的なスタンスを見せたことで、賃上げへの期待感が高まっている。
もっとも、それがどこまで日本の平均賃金を押し上げるかについては慎重な見方も少なくない。実際これまでも、人手不足下であるにもかかわらず、賃金上昇のスピードは緩慢だった。低い物価上昇率、高齢者や女性の労働参加、人手を必要としない技術革新、国際競争の激化といった要因が挙げられるが、就職氷河期世代の賃金水準の低迷にも最近注目が集まっている。これは、日本の労働市場を改善する方向性について重要な示唆を与えるものだ。
厚生労働省によると、06年から16年までの10年間で、一般労働者(主に正社員)の所定内給与月額は約2000円上昇した。ところが、40〜44歳に限定すると、約2.5万円、率にして7%減少している。35〜39歳の減少率も約5%と大きく、40歳前後に集中しているので「アラフォークライシス」と呼ばれている。
40歳前後の年齢層に賃金減少が集中している理由はいったい何だろうか。統計を詳しく検討してわかるのは、こうした世代で企業における勤続年数が短くなっているという事実だ。これらの年齢層の平均勤続年数は、この10年間で10%近く短くなっている。これは、就職環境が厳しい世代には無業期間や不本意就職による離職が生じやすいためだが、賃金の決定要素の中で年功的要素の占める比率が高い日本においては、勤続年数の短縮化は賃金水準の低迷に結び付いてしまう。
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