神戸製鋼所のみならず、日産自動車をはじめ大企業による不正が相次いで発覚している。企業の内部統制の重要性が叫ばれて久しいが、なぜ不正がなくならないのか。金融庁企業会計審議会内部統制部会長やNHKコンプライアンス委員会委員長などを歴任し、内部統制の理論と実務に詳しい八田進二・青山学院大学大学院教授に聞いた。
──内部統制が機能しない原因はどこにあるのでしょうか。
神鋼のデータ改ざんも食品偽装も決算の不正も、正しい情報を発信していないという点で問題の根っこは同じだ。日本企業は、自分たちがやっていることを客観的な証拠を示しながら顧客や関係者に対して説明するというアカウンタビリティ(説明責任)の意識が非常に薄い。
その理由は、単一言語で共通した価値観を持ち、コミュニケーションを取るのに多くの言葉が必要なかったこと。つまり「あうんの呼吸」「以心伝心」の社会だったからだと私は理解している。ところがグローバル化が進み、それではもう通用しない。
現場が成功体験を持つ企業は手をつけにくい
もう一つ理由を挙げると、神鋼や日産などはものづくりで成功体験を持つ会社だ。そうした会社はよく「現場重視」と言うし、実際それでいい時代もあった。しかし、成功体験を持つ現場は、事業が斜陽になってもやり方をなかなか変えられない。
内部統制を機能させるには、トップの意向、姿勢、リーダーシップの三つが欠かせないが、そうした会社のトップに立つのは、たいてい調整型の人だ。いろいろな部門の意見を聞いて「頼むよ」となるから、内部統制の問題にまったく手がつけられない。
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